壺井八幡宮

壺井八幡宮は、大阪府羽曳野市にある神社である。武家棟梁・河内源氏の氏神である。八幡神として誉田別尊（応神天皇）・仲哀天皇・神功皇后を主祭神とし、玉織姫・武内宿禰を配祀する。源義家（八幡太郎義家）が愛用したとされる黒韋威胴丸（くろかわおどしどうまる・重要文化財）や天光丸の太刀（重要美術品）などが伝わっている。社家の高木氏は、河内源氏・八幡太郎義家の六男・源義時（陸奥六郎義時）の子孫である。
○歴史
一帯は河内源氏の本拠地で、寛仁4年（1020年）に源頼信が河内国国司に任じられて以降、頼信・頼義・義家の3代にわたって当地に居住し、河内源氏と呼ばれるようになった。康平7年（1064年）5月15日、前九年の役に戦勝して凱旋した源頼義が、現在地である河内国香呂峰の私邸の東側に社殿を造営し、河内源氏の氏神である石清水八幡宮（京都府八幡市）を勧請したのが当社の始りである。この時、地名を香呂峰から壺井と改め、壺井八幡宮を武家源氏棟梁の河内源氏の総氏神とした。近くには河内源氏の氏寺・通法寺がある。その後、源頼義は、河内源氏の東国進出の拠点として、鎌倉にも石清水八幡宮を勧請した（鶴岡若宮。後の鶴岡八幡宮）。頼義の5世孫である源頼朝が鎌倉幕府を開いた後は、河内源氏の総氏神は壺井八幡宮から鶴岡八幡宮に移り、壺井八幡宮は河内源氏の祖廟にして当地に土着した河内源氏である石川源氏の氏神となる。南北朝から戦国時代にかけたびたび兵火にかかり荒廃した。現在の社殿は、元禄14年（1701年）、徳川綱吉の命により柳沢吉保が再建したものである。明治時代には八幡神社と称し、近隣の以下の神社が合祀された。
石丸神社（駒ヶ谷村大字通法寺。祭神 天照大神・武甕槌命・経津主命・天児屋根命・比咩大神・誉田別命）
神明神社（西浦村大字広瀬。祭神不詳）
式内・大祁於賀美神社（西浦村大字大黒。祭神 高?神。昭和30年（1955年）に独立）
八幡神社（西浦村大字広瀬。祭神 品陀別命）
式内・飛鳥戸神社（西浦村大字飛鳥。祭神 百済昆伎王。昭和27年（1952年）に独立）
第二次大戦後、現在の壺井八幡宮に改称した。
○壺井権現社
壺井八幡宮本殿の奥には頼信・頼義・義家、義綱、義光を祀る摂社・壺井権現社（壺井神社）がある。天仁2年（1109年）、源義家の五男義時が創建して河内源氏の崇廟としたもので、源氏三神社の一つである（あとの2つは京都・六孫王神社、摂津・多田神社）。
○文化財
重要文化財
黒韋威胴丸 壺袖付
重要美術品
太刀銘安綱
○所在地
大阪府羽曳野市壺井605-2
○例祭
5月15日