玉手山公園は、大阪府柏原市南部の玉手山丘陵地帯にある柏原市立の公園で、1999年(平成11年)3月に開園した。
○沿革・概要
前身は1908年(明治41年)に河南鉄道(現在の近鉄南大阪線)によって開設された西日本で最も古い遊園地である近鉄玉手山遊園地。同遊園地は1998年(平成10年)5月31日に90年の歴史を閉じたが、約一年間の休園の後、1999年(平成11年)3月柏原市立玉手山公園「ふれあいぱーく」として再スタートした。前身の玉手山遊園地は昭和30年代の最盛期には、現在の玉手小学校から山頂の玉手町にかけての一帯に広がった広大な敷地を有し、年間数万人の来園者が訪れ、大阪府内でも有数の遊園地として賑わった。特に春先には山全体が桜の花が満開となる。3カ所あったゲートのうち現在も使用されている山上の東ゲートと現在玉手小学校の取り付け道路となっている場所にあった西ゲートから山上に向かっては玉手山斜面をぐるっと取り巻く形で桜並木があり、山上まで繋がっていた。中央ゲートに繋がるメイン広場には日本猿の檻や、イノシシなどの小動物の檻、管理棟のあった一段上の広場には中央に立派な野鳥舎とそれを囲むようにクジャクなどの鳥舎があり、メイン広場全体がミニ動物園になっていた。現在バッテリーカーが走っている「SLのりば」には、本格的なお猿の電車が走っておりその近くには飛行機塔もあった。現在「冒険広場」になっている、南入口(当時は通用口)脇の窪地にはイベント用の展示館があり、メイン広場にある「おたのしみ館」とともに時々に応じた特別展示を行っていた。また、現在昆虫の森と呼ばれているあたりには、洋館造りの初代「昆虫館」があった。春の桜のシーズン、秋の菊人形展など、年間を通じて、多彩なイベントを行っていた。現在も使用されている、野外劇場では、日曜祝日には着ぐるみショーなどが行われていた。昭和36年頃に行われた「自衛隊展」を最後に大きな催しが開催されなくなった。この時を境に、東ゲート付近が高級分譲住宅地に転用され、現在「いこいの森」と呼ばれているあたりに発生した地滑り災害の影響で西ゲートも閉鎖され、その後西ゲート付近も小学校に生まれ変わり、山上付近にあったユネスコ村も撤去されて規模が縮小していった。 それでも春先、秋口の行楽シーズンには、近隣の市町村の幼稚園児や、小学校低学年生の遠足の場として、手軽に行ける遊園地として利用されていた。またかつては来園者のために国分駅から無料のシャトルバスが運行されていた時期もあった。しかし高度成長期を通じ最新型ジェットコースター等を設備する大型遊戯施設が近隣各地に出現し次第に客を奪われるようになり、入場者数が目立って減少しだし日曜祝日でも入場者がまばらな寂れた遊園地に変わっていった。入園料も有料、無料、再び有料と変更を繰り返し、1998年(平成10年)5月31日、閉園し取り壊されることが決定していたが、敷地の大部分を所有する宗教法人の檀家からの要請で、柏原市が近鉄から遊戯具等の設備を含むほぼそのままの形で運営を引き継ぐこととなり、ほぼ一年間の休園期間をへて1999年3月柏原市立玉手山公園「ふれあいパーク」として再開された。なお、68,000平方メートルの敷地の大部分は地元の宗教法人(安福寺)の所有地であり、かつては近鉄興業(当時)が宗教法人から借地しており、現在は柏原市がこの宗教法人から、年間670万円程の賃貸料で借地している。
○立地環境
公園内、東入口付近を中心に「玉手山古墳群」とよばれる古墳群が存在する。公園内の高台には「アンティックな音楽堂」とよばれる、1908年の開園当時のガゼボがある。明治の洋風建築様式の面影が色濃く残っている。また、天辺に河南鉄道の社印が取り付けられ、現在も残っている。かつて玉手山付近と石川の対岸にある道明寺付近にかけては大坂夏の陣における激戦地であり、豊臣方の後藤基次(又兵衛)は玉手山に陣を敷き、徳川方と激戦を交わしここで討ち死にした。 公園内に両軍戦死者の供養塔、後藤又兵衛碑 や 後藤又兵衛しだれ桜がある。俳人 小林一茶のゆかりの地でもあり、寛政7年(1795年)4月3日に葛井寺と道明寺に詣でた後、当時すでに景勝地として有名になっていた玉手山を訪れている。ここで俳句を二句詠んでおり、そのうちの一つを刻んだ句碑が公園内にある。敷地内には、在阪テレビ局の柏原テレビ放送中継所がある。
○問題点・課題
掛かりすぎる公園維持管理費。平成19年度予算で見ると玉手山公園関連維持管理費は3,138万円、これは柏原市の公園維持管理費総額7,627万円の実に41%を占めている。その内柏原市所有の敷地・建物に設置されている有料遊戯具の維持管理も含め業者への管理委託費は2,120万円に上り玉手山公園維持管理費の実に67.4%を占め、柏原市の所有する全公園の維持管理委託費の実に、36.4%(平成19年度)にも登っている。。市立の一般公園であるにもかかわらず警備上の理由から、夜間は閉門し立ち入り禁止であるため、帰宅後や早朝出勤前のジョギング、ウォーキング等の公園本来の目的に使用できない。公共施設であるにも関わらず、野外劇場などの利用規程がはっきりしていない。有料遊戯具の設置に関して委託業者との契約内容が公開されておらず、料金収入の行方等、不明朗な点が多々見られる。来園者の殆どが近隣市町村からの外来者で占められ、柏原市民の利用率が極端に低いこと。たのしみ館、昆虫館等の常設館は果たして必要なのか。特に昆虫館については、展示物の管轄を教育委員会にゆだね、他の施設に移転すべきではないか。老巧化の激しい、野外劇場その他の建造物をどうするか。建物を解体整理し維持管理費の縮小を諮るべきでは無いか。国的に見ても、前述した宗教法人からの借地契約は地方自治体の運営する公立公園としては異例であり、物議を醸している。等問題が山積している。また、
「実態は前身の玉手山遊園地のままであり、ゲーム機、乗り物等の有料遊技具の必要性、大幅な規模縮小も含めた運営形態の見直し」「宗教法人との賃貸契約等の見直し」といった課題が挙げられる。
○交通アクセス
近鉄南大阪線 道明寺駅下車徒歩約15分
近鉄大阪線 河内国分駅下車徒歩約20分
○所在地
大阪府柏原市玉手町7-1
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