2012年9月8日土曜日

鯖街道

鯖街道は、若狭国などの小浜藩領内(おおむね現在の嶺南に該当)と京都を結ぶ街道の総称。主に魚介類を京都へ運搬するための物流ルートとなっており、その中でも特に鯖が多かったため、この名で呼ばれるようになった。
○概要
狭義では若狭街道(現在の福井県小浜市から京都市左京区(出町柳))を指し、おおむね国道27号(小浜市 - 若狭町三宅)・国道367号(若狭町三宅 - 京都市左京区(若狭町三宅 - 高島市今津町保坂は国道303号と重複))にあたる。なお、広義では現在の嶺南から京都を結んだ街道全てを鯖街道と呼ぶ。鉄道や自動車が普及する以前の時代に、若狭湾で取れたサバを徒歩で京都に運んだ道であったことから、このように呼ばれるようになったと言われている。サバに塩をまぶして夜通し京都まで運ぶとちょうど良い味になることから、運ぶ人達は「京は遠ても十八里」と唄いながら寝ずに歩き通したと言われている。こうして運ばれた塩漬けのサバは京の一般庶民にまで喜ばれ、その到着が待ち望まれたとも言われている。現在も小浜や国道367号沿線などには、鯖寿司の製造を生業とした店が多数存在する。
○地域活性化における利用
鯖街道を地域活性化に利用するための取り組みとして、小浜・若狭・高島の3市町による「鯖街道交流促進会議」が2005年度に発足したが、2012年度には「鯖街道まちづくり連携協議会」として組織形態を発展させ、観光や名産品の売り込みなどが広域的に取り組まれている。一方、終点の出町柳付近にある出町商店街では京都府の補助事業(地域商業チャレンジ支援事業)「鯖街道情報発信事業」における地域活性化のモチーフとして鯖街道が用いられたほか、この事業などにおいて街道沿線との交流の試みもなされている。また、小浜市から京都市(左京区出町柳)までを当時のルートで走り通す「鯖街道マウンテンマラソン」(距離:76km)が毎年開催されているが、ルートの大半が未舗装路であることや高低差が大きいことから、別名「ウルトラ山岳マラソン鯖街道マラニック(マラソン+ピクニック)」とも呼ばれる。
○峠
寒風峠
水坂峠
檜峠
花折峠
途中越
○沿線の名所・旧跡
瓜割の滝 - 名水百選
天徳寺
三宅区火の見やぐら
熊川宿 - 重要伝統的建造物群保存地区
道の駅若狭熊川宿
朽木宿(朽木陣屋跡)
朽木郷土資料館
道の駅くつき新本陣
葛川明王院
三千院
○その他の鯖街道ここでは、主な街道やルートを挙げる。
・琵琶湖経由のルート
小浜から琵琶湖の水運を経由して京都へ至るルート。古代は勝野(現・高島市勝野)や木津(現・高島市新旭町)などが、鎌倉時代以降は今津(現・高島市今津町)を主な水陸中継地とした。のち、豊臣秀吉が若狭往還の荷物をすべて今津経由とするなどの庇護を受けたほか、若狭街道が朽木方面へ折れる道をさらに直進し今津へ至る道(九里半街道)が整備され、伏見城築城のための資材輸送にも利用された。なお、湖上から京都への陸揚げは山中越を介して最短となる坂本が利用されたが、のちに秀吉が伏見や大坂への利便性が高い大津を保護し、坂本などから移した船をあわせて大津百艘船を組織した。
・西近江路
今津から琵琶湖の西側を陸路で辿るルート。おおむね現在の国道161号に該当する。
・小浜街道(根来・針畑ルート)
小浜から遠敷川沿いを上り、根来坂峠・小入谷(現在の高島市朽木小入谷)から現在の滋賀県道783号を経て久多・花脊峠へ。さらに鞍馬街道を経て京都へ至るルート。小浜から京都への最短距離をとることから良く利用された。昭和初期以降は利用が廃れたため根来坂峠が廃道となっていたが、近年になって観光や地域文化振興などの観点から登山道として整備されつつある。
・周山街道
小浜から名田庄を経由するルート。おおむね現在の国道162号に該当する。
○その他
現在の日本は、多くのサバをノルウェーから輸入している。これを指して、ノルウェーから日本への空路を「現代の鯖街道」と例える者もいる。なお、現在は塩をまぶすのではなく冷凍で送られており、アニサキスの心配はない。

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