2016年5月8日日曜日

吉田家住宅

○吉田家住宅主屋
敷地中央西寄りに建ち、周囲を長屋が囲む。木造2階建、東西棟の東入母屋造、西切妻造、桟瓦葺。東側はもと通り土間で、西側を四間取の居室とする。正面に式台玄関を設け、座敷には座敷飾りを備える。大正期の都市住宅の形態をよく留めている。
○吉田家住宅西長屋
主屋の南側に路地を挟んで建つ。南北棟の桟瓦葺で、北入母屋造、南切妻造。木造2階建とし、南北に4戸を配する。各戸とも基本平面は同じで、東面南寄りを玄関とし、1階奥を台所とする。2階は六畳1室。東面には桁行全長に軒庇を付け、当初の形式を伝える。
○吉田家住宅土蔵
主屋の北西に建つ。桁行3.9m梁間3.0m、土蔵造2階建、切妻造本瓦葺で、南面に桟瓦葺の庇を付ける。外壁は漆喰仕上げで、下階に鳥居型の扉枠を漆喰で表し、掛子塗の扉を吊る。扉内側に木瓜形の造出し。都市部での、主屋と一体的に建てられた土蔵の一例。
○吉田家住宅東長屋
主屋東側に路地を挟んで建つ。南北棟の切妻造桟瓦葺。木造2階建で、南北4戸に分ける。各戸とも基本平面は同じで、西面に主屋と意匠を揃えた高塀をめぐらし、北寄りに門を開く。1階は台所や四畳半、2階に2室を配す。路地沿いに建つ長屋の面影を伝える。
○吉田家住宅南二軒長屋
敷地東側の南端に建つ。木造2階建、切妻造桟瓦葺。南北の2戸に分けるが、基本平面は同様である。西面南寄りに入口を設ける。2階の西面壁を半間後退させ、屋根と庇は緩やかに起らせる。西面外壁には当初仕様とみられるスクラッチタイル貼を残す。
○吉田家住宅北長屋
主屋の北方、道路に北面して建つ。木造2階建、L字型に折れ曲がる切妻造桟瓦葺。内部を3戸に分け、西側2戸は同平面で、北西に玄関を配し、2階はトコをもつ六畳と四畳の2部屋とする。北面中央の窓には木製の手摺と庇を残し、当時の面影を伝える。
○吉田家住宅北二軒長屋
敷地東側、東長屋と南二軒長屋の間に建つ。木造2階建、切妻造桟瓦葺で、南北2戸に分ける。東長屋と同様に、主屋と意匠を揃えた高塀をめぐらし、その北寄りに門を開く。主屋とともに、往時の路地空間の面影を伝えている。
○吉田家住宅門及び高塀
主屋の前庭を囲い、座敷前面を東西に区画する庭塀も含む。延長42m、木造、一文字瓦葺で、腰を竪板張とし、小壁は鼠色の漆喰仕上げとする。主屋入口の正面では、壁面を後退させて、潜戸を開き、瓦葺の庇を付け、格調高い屋敷構えを形成する。

所在地:大阪府大阪市北区豊崎1-47~50



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