2016年11月18日金曜日

相楽園

相楽園は兵庫県神戸市中央区にある広さ20,000m2の都市公園・日本庭園。日本の文化財保護法に基づく登録記念物の最初の登録物件である。ツツジの名所として知られる。
○概要
三田藩士・小寺泰次郎が幕末から明治維新の混乱で困窮する三田藩の財政を立て直すべく、九鬼隆義、白洲退蔵(白洲次郎の祖父)らとともに神戸で事業を起こし実業家として成功を収め、小寺の私邸として建設されたもので、1885年頃から築造を始め1911年に完成させた広大な庭園と邸宅である。当初「蘇鉄園」と呼ばれていたが1941年に神戸市が譲り受け、名称を中国易経にある「和悦相楽」より取った「相楽園」と変えて一般公開されるようになった。庭園の形式は池泉回遊式を基本としているが、西洋文化の影響をうけて広場が設けられている。戦前までは園内に小寺家本邸をはじめとする多数の建造物があった。しかし西洋風の旧小寺家厩舎(重要文化財)以外は全て1945年6月の神戸大空襲により焼失した。現存する大楠や蘇鉄林、大灯篭、塀、門などから失われた邸宅の雄大さをうかがうことができる。第二次大戦後になって神戸市生田区(現・中央区)北野町から旧ハッサム住宅(重要文化財)が移築保存され、神戸市の迎賓館施設として相楽園会館、茶室「浣心亭」が建設され、さらに神戸市垂水区から船屋形(重要文化財)が移設されて現在の景観に至る。
○施設
船屋形(1682年~1704年間に建造、神戸市垂水区から移設、1953年8月国の重要文化財に指定)
旧ハッサム住宅 (1902年築、神戸市生田区(現・中央区)北野町から移築、1961年6月国の重要文化財に指定)
旧小寺家厩舎 (1908年築、1970年6月国の重要文化財に指定)
相楽園会館
茶室「浣心亭」
池泉回遊式日本庭園
○利用情報
開園時間-午前9時~午後5時(入園は午後4時30分まで)
休園日-毎週木曜日(祝日の場合は開園、翌日休園)、年末年始、菊花展期間は無休
○所在地
〒650-0004兵庫県神戸市中央区中山手通5-3-1
○交通アクセス
神戸市営地下鉄西神・山手線県庁前駅徒歩5分
阪急神戸高速線花隈駅徒歩10分
阪神本線元町駅徒歩10分
JR神戸線元町駅徒歩10分














「旧小寺家厩舎」
旧小寺家厩舎は兵庫県神戸市中央区の相楽園内にある西洋スタイルの厩舎建築。建築家河合浩蔵の設計で1910年に竣工したもの。1970年に国の重要文化財に指定されている。この建物は相楽園を築いた実業家小寺泰次郎の息子である元神戸市長・小寺謙吉が園内の一角に建てたもの。相楽園に残っている戦前の数少ない遺構の一つである。建物平面はL字型、 1階は左側が馬車庫で右側が馬房、2階は厩務員宿舎という用途で、1階が煉瓦造、2階が木骨煉瓦造という構造である。外観は円型塔屋や急勾配の屋根・屋根窓と切妻飾り等々、ドイツ民家風の重厚な意匠に飾られている。
○建築概要
設計―河合浩蔵
竣工―1910年頃
構造―煉瓦造2階建て(2階部分は木骨煉瓦造)、一部吹抜、塔屋付、スレート葺
建築面積―188.1m2
所在地―〒650-0004兵庫県神戸市中央区中山手通5-3-1相楽園内






「旧ハッサム住宅」
旧ハッサム住宅は兵庫県神戸市中央区にある異人館。設計はシュエケ邸や門邸など数々の異人館を手がけたA.N.ハンセル(Alexander N. Hansell)といわれている。竣工は1902年。広大な日本庭園を望む南側ベランダは、1階がアーケード式、2階がコロネード式で、邸の外観上の特徴になっている。明治時代の異人館の特徴を伝える名建築として評価され、1961年6月7日に国の重要文化財に指定されている。
○歴史
1902年に神戸市中央区北野町2丁目の旧ドレウェル邸(ラインの館)北側にインド系イギリス人貿易商J.K.ハッサム(J.K.Hassam)の邸宅として建てられた。1961年に当時の所有者である神戸回教寺院が神戸市に寄贈し、1963年に元町の山手にある相楽園内に移築保存された。1995年の阪神・淡路大震災では、煉瓦積の煙突が室内配膳室に落下するなどの被害があったが修復され、現在に至る。落下した煙突は震災の記録として前庭の一角に展示されている。前庭に建つ2本のガス灯は1874年頃に旧居留地の街灯として設置された、現存する日本最古級のガス灯である。
○利用情報
相楽園閉園日―毎週木曜日定休、祝祭日にあたる場合は開園、翌日休
邸内公開時期4月20日~ 5月31日(毎週木曜日定休、祝祭日にあたる場合は開園、翌日休)10月20日~11月23日(期間中無休)
公開時間午前9時~午後4時30分
○建築概要
建築主―J.K.ハッサム
設計―A.N.ハンセル (推定)
竣工―1902年(明治35年)
構造―木造2階建、寄棟造、桟瓦葺、外壁下見板張、ベイウインドウ、鎧戸、ペジメント
延床面積―397.58m2(1階173.61m2、2階179.73m2、地階5.42m2、附属棟29.18m2、倉庫9.64m2)
所在地―〒650-0004兵庫県神戸市中央区中山手通5-3-1相楽園内
「船屋形」
船屋形は、兵庫県神戸市中央区の相楽園内にある歴史的建造物"川御座船"である。御座船とは江戸時代に大名が参勤交代や遊覧に使用した船を言い、今日まで残っているものは数件である。なかでもこの船屋形は川御座船としては唯一現存するもので、その希少性と歴史的文化的価値の高さから1953年(昭和28年)に国の重要文化財に指定されている。この建物は江戸時代、姫路藩(姫路市)で使用されていた川御座船の屋形部分にあたる。建造年については、飾り金具の本多氏家紋の痕跡から1682年から1704年の間とされている。幕末は飾磨港(現在の姫路港)にあったが、明治になって移築する際に船体部分が破棄され屋形部分も大幅に改変された。昭和14年、垂水区舞子に復元移築され、1980年(昭和55年)には現在の相楽園に移築された。
○建築概要
建造年-天和2年(1682年)から宝永元年(1704年)の間(推定)
構造-木造2階建、桁行五間、梁間一間、一重二階、切妻造段違、檜皮葺
建築面積-43.74m2
所在地-〒650-0004兵庫県神戸市中央区中山手通5-3-1相楽園内
重文指定年月日-1953年(昭和28年)8月29日





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