○概要
1612年、安井道頓(成安道頓)・安井道卜(どうぼく)、平野郷の安藤藤次(平野藤次)らが私財を投じて運河開削に着工、1615年(元和元年)に完成した。新堀・南堀川・新川などと呼ばれていたが、松平忠明が道頓の功績を評価し、道頓堀と名づける。1660年代から劇場ができはじめ、中座、角座、竹本座、浪花座、弁天座、朝日座などの劇場で、歌舞伎や人形浄瑠璃が演じられた。日本橋北詰東に安井道頓・道ト紀功碑がある。1854年12月、宝永地震により発生した津波が大阪湾内の河川を遡上。道頓堀付近まで水没したと伝えられている[1]。現代の道頓堀は、大阪ミナミの繁華街。道頓堀に沿う商店街に飲食店が集中。グリコネオン、キリンプラザ大阪(閉館)、かに道楽本店、づぼらや(ふぐ料理)、くいだおれ(閉店)、道とん堀大阪支社、道頓堀ホテル、道頓堀極樂商店街(閉館)など、多種多様な看板・建物の店舗があふれている地域である。道頓堀にかかる戎橋は、2007年11月22日に82年ぶりとなる架け替え工事が完了。また、戎橋から太左衛門橋の両岸に、「とんぼりリバーウォーク」という名称の遊歩道が整備されている。川に面して、ドン・キホーテの楕円形観覧車が設置されている。この観覧車の愛称は、2005年8月31日、公募により「えびすタワー」に決まった。観光船が通い、川側からの出入りが出来るようになり、活性化が期待されている。地元商店会によって催しなども開催されている。また、目の前には太左右衛門橋船着場が設けられ、遊覧船(とんぼりリバークルーズえちぜん号・アクアミニ水都号)などが発着している。なお、河川名は、西区との境界、阪神高速1号環状線がある所でもある西横堀川合流点までが「東道頓堀川」で、それより先を「西道頓堀川」と呼ぶこともある。
○風物詩
・船乗り込み
歌舞伎役者など、道頓堀の芝居小屋で興行を行う際、船に乗り込み道頓堀川の船上にて芝居のPRを行う一種のパレード。毎年の夏の公演の他、襲名披露公演でも実施(近年では中村勘三郎襲名披露等)。
・とんぼりワッショイ
春・秋に開かれるアートイベント。
○道頓堀川八丁
道頓堀開削とともに成立した8町。島之内南端の北岸に西から久左衛門町・御前町・宗右衛門町・大和町。芝居小屋が並ぶ南岸に西から湊町・九郎右衛門町・吉左衛門町・立慶町。現在も宗右衛門町と湊町の2町名が残っている。
○道頓堀五座
戎橋南詰から東に存在した、浪花座・中座・角座・朝日座・弁天座の五つの劇場のことで、1653年(承応2年)に芝居名代5株が公認されたことに始まる。「五つ櫓」とも言う。道頓堀を代表する劇場群で、近代に至るまで、歌舞伎や仁輪加(軽演劇)、人形浄瑠璃などが賑々しく興行された。昭和初期までにこれらの劇場はすべて松竹の経営に移り、一部は映画館に転向した。第二次世界大戦後、朝日座が東映に売却され大阪東映劇場(後に道頓堀東映と改称)となる。弁天座は文楽座と改称され、人形浄瑠璃の常打劇場となるが、やがて人形浄瑠璃は松竹の手を離れ、朝日座と改称。角座は演芸場に転換、演芸ブームで隆盛を誇ったが、漫才ブーム終了後に失速。いずれも昭和末期に閉鎖された。平成に入りバブル崩壊を受け、松竹は残った中座(松竹新喜劇の本拠地)、浪花座(松竹芸能の本拠地)を相次いで閉鎖し、映画館の入った商業ビルとして復活していた角座も含めてことごとく敷地を売却。ここに、道頓堀五座は事実上消滅した。なお、中座解体途中に爆発事故を起こして建物は崩壊し、中座の南側にある法善寺横丁が大打撃を受けた。現在商業演劇や歌舞伎の定期公演などは大阪松竹座で行われているが、道頓堀五座とは別個の劇場である。また、演芸は浪花座跡地の「サミー戎プラザ」内にある「ゑびす座」で演芸興行などが行われている。なお中座は、2009年7月に中座くいだおれビルとしてリニューアルオープンし、くいだおれ太郎が復活し話題となった。
○道頓堀裁判
安井道頓の従弟、安井道卜(どうぼく)の子孫が1965年1月4日、道頓堀の川底の所有権を主張して、大阪地方裁判所に起こした民事裁判。江戸時代の所有権の有効性、目的喪失後の慣行水利権の有無、法律未整備時の所有の概念の有無など、多くの問題を提起した。1976年10月19日に、安井氏の請求を棄却する判決が出された。
○水質
道頓堀川の水質は、昭和40年代には年平均BOD値が30mg/lを超えるなど極めて悪かったが、大阪市都市環境局の対策もあって、近年ではBOD値が5mg/l以下と大幅に改善している。ハスなどの魚の姿も見られるようになってきた。ただし、DO値が2mg/l程度と低く、大腸菌などの有害な嫌気性細菌が多くおり、人が泳ぐには適さない。また、濁度が高く(水が濁っている)、見た目にも綺麗な河川とは言いがたい。現在、合流式下水道の改善などが図られているため、数年後にはさらに水質が改善される見込みである。また、2003年にNPO法人「大阪・水かいどう808」が、水質浄化目的で、真珠の母貝のひとつである、イケチョウ貝の養殖を開始した。この貝は、1日にドラム缶1本分の水を浄化できるとされている。2006年1月9日に開貝式があり、真珠も採取された。
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