南海ビルディングは、大阪市中央区難波にあるターミナルビル。
○概要
大阪市街の南玄関である南海電気鉄道難波駅に併設されたターミナルビルで、御堂筋の南端に位置する。乳白色のテラコッタタイルによるコリント様式の近代建築。久野節(久野節建築事務所)の設計、大林組の施工で、1932年に竣工した。主テナントの高島屋大阪店は同社の登記上の本店である。開業時は南海鉄道との提携で「南海タカシマヤ」と呼称し、日本の百貨店では初めて冷暖房を完備していた。1972年から1980年にかけて行われた改装工事により駅舎は南側に移動し、現在は百貨店のみとなっている。この改装時に伊藤継郎により描かれた「南海沿線のまつり」をモチーフとしたモザイク壁画が正面の庇の下にあしらわれている。2010年7月23日に地域のシンボル的存在として大阪市都市景観資源に登録され、2011年1月26日には国の登録有形文化財に登録された。
○再生計画
2007年5月14日に、南海電鉄は難波駅周辺の再生計画を発表し、10月から同駅の改良工事を実施してきた。同時に、高島屋では既存ビルの東側、なんさん通りに面して建っている同社の事務施設5棟を取り壊し、TE館を増築し(約22,000m2)、既存の本館と一体となった「新本館」として再構築した(増床後78,000m2)。当ビルにおいても、外装タイルの補修、高島屋・なんばCITY・なんばパークスに接続する通路の新設・移設、耐震補強などの工事が行われ、2009年9月17日には外装リニューアルが完成した。工事中の仮囲いには南海の全駅名が書かれたユニークなものが用いられた。当ビルと南海電鉄難波駅の間の空間には、1978年に三菱重工業により製造されたN-Iロケットと同型の原寸大模型が置かれ、「ロケット広場」として長年親しまれていたが、2007年8月10日から23日にかけてロケットを撤去(「発射」と呼んでいる)して再整備を行い、室内吹抜空間全体を「なんばガレリア」、旧「ロケット広場」を「ガレリアコート」として、2009年10月16日にオープンした。ビル上部の駅本屋側には、駅の開業(1885年)、南海ビルディングの竣工(1932年)、リニューアル工事(2009年)の記録が刻まれている。2010年3月2日の高島屋増床第1期開業時には、隣接するなんばパークスもリニューアルを行った。同年9月1日に改装第2期部分が開業した。2011年3月3日に高島屋が全館グランドオープンし、4月下旬に高架下のなんばCITYもリニューアルオープンした。
○歴史
1932年(昭和7年)7月9日-完成。15日に南海タカシマヤ(高島屋大阪店)が開業。
1937年(昭和12年)11月1日-天下茶屋駅まで高架化。難波駅高架ホーム使用開始。
1938年(昭和13年)9月10日-天下茶屋駅までの高架複々線完成。
1944年(昭和19年)6月1日-会社合併により近畿日本鉄道の駅となる。
1947年(昭和23年)6月1日-高野山電気鉄道への路線譲渡により、南海電気鉄道の駅となる。
1980年(昭和55年)11月21日-駅改良工事により起点を0.2km今宮戎駅寄りに変更。23日、改良工事完成。
2003年(平成15年)11月7日-なんばパークス第1期開業により中央口を一部改装。
2010年(平成22年)3月2日-新本館の増床部分を含めた第1期分が先行開業。
9月1日-改装第2期部分が開業。
2011年(平成23年)3月3日-増床・リニューアル工事完了、全館開業。
○フロアマップ
2010年7月現在
9F-7Fレストラン「なんばダイニングメゾン」
7F-BF高島屋大阪店3F南海電鉄難波駅連絡通路
1F・5Fスイスホテル南海大阪連絡通路
○情報
用途:商業施設(百貨店、物販・飲食)、多目的ホール
旧用途:鉄道駅
設計者:久野節建築事務所
施工:大林組
建築主:南海電気鉄道
管理運営:高島屋・南海都市創造
構造形式:SRC造
敷地面積:34,252m2
延床面積:約40,707m2(竣工時)、約54,000m2(旧館部分)
階数:地上7階、地下2階
高さ:約31m(100尺)
着工:1929年(昭和4年)6月19日
竣工:1932年(昭和7年)7月9日
所在地:〒542-8510:大阪府大阪市中央区難波5丁目1番5号
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