莫大小(メリヤス)会館(宗兵蔵)

大阪国際会議場や京阪中之島線など再整備が進む中之島西地区の対岸、堂島大橋北詰にひっそりとたたずむレトロビル。北浜周辺の近代建築物と同じく、レストラン・カフェやギャラリー、建築設計事務所など、この建物の良さを知るテナントが多く入居し、それがメリヤス会館の雰囲気をさらに高めている。連続したアール窓や、内部空間の端々に施されたやわらかな曲線など細部にもこだわりがあり、壁が切り取られ突然現れる入り組んだ階段など、複雑な動線から増改築を繰り返した軌跡をたどることが出来て面白いが、最後に増築されたであろう四階部分は、切妻屋根やアルミサッシなどが使われ、プレハブが乗っているようで残念。シンプルな半円アーチ窓の繰り返しが美しい。何度も増築を重ねたので、行き着けない階段があったりして内部はまるで迷路のようになっているとのこと。莫大小で｢メリヤス｣と読む。建築年は1929(昭和4)年。設計は宗建築事務所で建設は大阪橋本組である。
所在地:大阪府大阪市福島区福島3-1-39