天満天神繁昌亭は、大阪府大阪市北区天神橋二丁目にある寄席。上方落語唯一の寄席で、落語を中心に、漫才、俗曲などの色物芸が毎日多数執り行われている。通称「繁昌亭」。
○歴史
元々は天神橋筋商店街で落語会を開く予定だったが、打ち合わせをしていくうちに定席の寄席話が持ち上がり、大阪大空襲後60年間上方落語には無かった定席が開設されることになった。2005年12月1日に着工、2006年8月8日に竣工、2006年9月15日開席。初代席亭には朝日放送出身の岩本靖夫が就いた。岩本は2006年10月に退任。その後2007年1月に「支配人」の名称で、和歌山放送出身の恩田雅和が席亭に就任。「繁昌亭」の名前は、6代目笑福亭松鶴の発案により千里中央のセルシーホールで上方落語協会が主催していた落語席「千里繁昌亭」に由来する。用地は大阪天満宮の寺井種伯宮司の好意により、無料で提供された。当初は設立への反対意見もあったが、建設費用については「繁昌亭建設募金」を置く事で設立に至った。建設費約2億4000万円は個人や企業からの寄付金で賄っており、その中には桂かい枝がブルネイでの公演で大臣から受けた寄付も含まれている。こけら落としの前後には、在阪各局による生中継をはじめとする特別番組やニュース報道などで取り上げられ、東京でも関連イベントが開かれた。
○特徴
・設備
地上鉄筋3階建、敷地面積591.06 m2、建築面積457.76 m2、延床面積589.93 m2。座席は1、2階の216席。設計者は狩野忠正建築研究所、施工者は錢高組。高座や客席の数等は、東京のいろいろな寄席が参考にされており、上方落語協会副会長の4代目林家染丸が建築家と共に調べ歩いた。劇場内外の天井には、募金をした人々の名前や団体約4,500件分の名前の書かれた提灯が並べられている。 舞台はヒノキづくりで、高座の膝隠(ひざかくし)は、5代目桂文枝が使っていた物を用いている。 また、舞台正面上部に掲げられている額の字「楽」は、明治時代に大阪府船場淡路町にあった「桂派」の寄席「幾代亭」の額の字「薬」に由来する。 この額の字は3代目桂米朝による直筆であり、また彼の好きな字でもある。
・赤い人力車
上方落語隆盛の時代の象徴として語り継がれている「赤い人力車」が復活。 この人力車は、初代桂春團治が多忙のために移動の手段として使用したとされるものを復元しており、多額の借金による「火の車」の洒落になっている。 桂三枝(現・六代桂文枝)が「劇場らしい雰囲気を作り、呼び物になるようなもので盛り上げたい」と提案し、親交のある鈴木美智子が静岡の職人に制作を依頼、寄付をした。2006年9月15日にはこけら落としの記念として、3代目桂春団治がこの人力車に乗り、三枝が車引きに扮して天神橋筋商店街をパレードした。
・ポスト
天満天神繁昌亭に飾られた人力車とポスト初代春團治が活躍した時代をモチーフに建設された繁昌亭にあわせ、明治時代の様式による、黒い屋根付きの特殊郵便ポストが設置された。投函者第1号は、除幕式に立ち会った桂三枝。
○その他
・百天満天百
2006年7月21日には、りそな銀行による地域活性化プロジェクト「REENAL」と繁昌亭のある天神橋筋商店街が共同で、繁昌亭を応援する外部団体として「サポーターズ倶楽部 百天満天百(ひゃくてんまんてんひゃく)」を開始した。会員には年会費別に特典が用意され、必要経費以外は繁昌亭の運営資金として寄付される。詳細については、公式サイトを参照のこと。
マスコット
2006年9月28日、一般公募により「小梅亭 てんてん」と名付けられた。
グッズ
煎餅、Tシャツ、ピンバッチなど、10点以上の繁昌亭オリジナルグッズが販売されている。
題字・ロゴ
橘右佐喜
・エピソード
桂三枝の弟子である桂三昌(さんじょう)は、繁昌亭オープンを記念して名付けられた。後に廃業。
こけら落とし公演での口上でゲストに呼ばれていた落語芸術協会会長の桂歌丸を、桂小米朝(現桂米團治 )が間違えて「三遊亭歌丸」と言ってしまい、桂小枝にたしなめられた。
桂きん枝はパチンコに熱中し、出番をスッぽかす。
2010年1月1日放送『笑点』お正月スペシャル、三遊亭楽太郎(現:6代目円楽)による。
・番組
朝席 9:00 - 12:00
団体貸切公演、土・日・祝日は若手中心。
昼席 13:00 - 16:00
週替わりに、若手からベテランまでの落語を中心に入れ替わり立ち替わり登場。落語以外にも色物(漫才やマジック)も。昼席のみ株式会社ケイ・オプティコムでネット映像配信あり。
夜席 18:30(または19:00)- 21:00
独演会や一門会など各落語家が主催する会を中心に、独自の企画で開く。
○住所
〒530-0041大阪市北区天神橋2-1-34
http://www.hanjotei.jp/
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